3月

 

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レトロゲームの話と線の話。線画はプロクリ一本でできるのではないか?と思えるほど正確に、レスポンスよく引けます。通常の手ぶれ補正の他に、線を引いてから数秒間ペンを離さずにいると、補正の効いた直線・曲線をベクターのように角度と位置を変えながら調節できるクイックライン・クイックシェイプという機能があり、すごく便利です。

 

らくがき。Ipadのペンシルに扱いにくさを感じていたので、いっそのことフィルムをはがしてガラス面へ直に書いたらどうかな?と思い立ってやってみたら、意外と悪くないです。アプリのプロクリの線は扱いやすく、昔使っていたSAIを思い出しました。

パッヘルベルのカノンを探して 続き

パッヘルベルのカノンについて調べている内に得た、ざっくりとした話の続き。 

・日本での初公演
音楽年鑑 昭和36年版より、V・シュピター指揮、NHK協奏楽団演奏、賀集陽子ピアノのカノンとジーグが1966年の7月11日にNHKホールで演奏されたとありました。録音は残っていないと思いますが、同日の夜にラジオ放送されたと当時の雑誌のラテ欄にありました。

・LP盤のカノンへの日本での言及
レコード芸術 1961年12月号の56p~57p 佐川吉男/著、協奏曲/題の中で、ミュンヒンガー指揮・合奏協奏曲ト短編「クリスマス」に収録されているカノンについて触れられていました。

・アーサー・フィードラー指揮のカノン
40年録音の有名な演奏で、激流のような早いテンポが特徴です。また、通奏低音チェンバロがとても綺麗でした。CDや配信がされているので今現在でも手軽に聴くことができます。テンポに関しては10インチSP盤の録音時間内に収めるためという説と、12インチ盤を敢えて使用していないことから、元々意図されていた速度という説があり興味深いです。この録音はエザイアス・ロイスナー (Esaias Reusner)の組曲第一集、Suite No.1の10インチ盤2枚組に含まれる形で、44年に米国ビクターより販売されました。

・ディーナー指揮のカノンについての追記
現存する独エレクトローラ盤がゲッティンゲン大学の電子目録より確認できました。日本ビクター盤は野村胡堂・あらえびす記念館に所蔵されているはず。こちらは書籍の目録だよりで、今も現存するかは未確認。

ウィントン・マルサリスによるトランペット演奏のアレンジ
とてもきらびやかで、1番のお気に入りです。公式のアーティスト・チャンネルより配信されています。

youtu.be

・最も音質の良いカノンは?
04年に販売されたオーディオDVD、EVANGELION:DEATHに収録されているスロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団演奏のものが最も高音質だと思います。他の録音もハイレゾ音源の配信サイトで探すと少し見つかります。

・リンク
パッヘルベルのカノン 名演名盤聞き比べ(曲の解説とCD比較)
フェブラリーのホームページより。カノンの演奏が収録された多くのCDについて詳細に書かれています。

以下調査中

・主よ、人の望みの喜びよ
この曲も好きなので調べました。確か1930年頃に日本での販売記録を見た気がします。もっと古い録音のSP盤もあるようです。

アルビノーニアダージョ
1958年より前の記録を探しましたが、見事に何もありませんでした。

・グスタフ・ベックマン (Gustav Beckmann)による研究論文
https://www.jstor.org/stable/929723
カノンの初出版された楽譜が含まれます。

・マックス・ザイフェルトの書籍
国際楽譜ライブラリープロジェクトより、パブリックドメインとなった著作の一部を閲覧できます。カノンとジーグが収録されたOrganum誌もありました。

・論文について
パッヘルベル 論文」の検索で表示される研究論文はどれも読み応えがあるので一読をおすすめします。特に受容史に関する一考察は遠隔複写をしてでも読むべきです。

パッヘルベルの他のカノン以外のSP盤

パッヘルベルのカノンを探して SP盤の記録

パッヘルベルのカノンのSP盤の記録

はじめに
パッヘルベルのカノンの普通のレコードを探している内に、SP盤という蓄音機用の古いレコード(Shellac,78rpm)は存在しないのかと疑問に思い調べました。

海外のSP盤

TORELLI, GIUSEPPE
 Concerto, op. 6, no. 10 . Reverce: canon, 3 voices, with bass (pachelbel). Berlin Collegium Musicum. con. Hermann Diener. Electrola EH 1231.

Miller, P. (1939). Quarterly Record-List. The Musical Quarterly, 25(3), 395–405.
http://www.jstor.org/stable/738753

The Musical Quarterly Vol. 25、第 3 号 (1939 年 7 月)の404ページ、Philip Miller著のQuarterly Record-Listにある目録より、三声のカノン 、  ベルリン・コレギウム・ムジクム演奏、ヘルマン・ディーナー指揮。レコード番号EH 1231の記載*1。これがカノンSP盤の一番古い記録です。
EH 1231はベルリンの学生(またはアマチュア)楽団、ドイツ人のディーナー指揮なのでドイツ内での録音で問題ないはずですが、売国が米/独のどちらかがわかりませんでした。The Musical Quarterlyは米オックスフォード出版なので恐らく米国での販売記録だと思いますが…確信が持てないです。仮にドイツでの販売記録だとしたら、情報がドイツ語で書かれていない、リストにGermanとの表記が見当たらないのが気になります。
Electrolaはドイツのレコード・レーベルなので、ドイツでの販売で間違いないです。

Reusner, E.
 Suite, no. 1 (arr. Stanley) ; and Canon (Pachelbel). Arthur Fiedler Sinfonietta, con. Fiedler. Victor DM-969

Broder, N. (1944). Quarterly Record-List. The Musical Quarterly, 30(3), 377–378. http://www.jstor.org/stable/739487

The Musical Quarterly Vol. 30、第 3 号 (1944 年 7 月)の378ページ、Broder Nathan著のQuarterly Record-Listにアーサー・フィードラー指揮のSP盤の記録があります。Victor発行、レコード番号DM 969*2。このレコードは40年に米国で録音されました。

日本のSP盤
ありえないと思いつつ、日本での販売がないか調べている中、ふと手に取った「野村コレクション SPレコード目録 昭和63年」の93ページにパッヘルベル作カノンの記載と、Vic, JH 228のレコード番号が記されていました*3。番号を手がかりにビクターの目録を探したところ、販売が確認できました。なお、JHは日本ビクターの赤ラベル・12インチSP盤を指します。

ビクター洋楽レコード目録の昭和15~18年(1944) 18ページ、34ページより、「三聲音のカノン 通奏低音を伴へる」 ディーナー指揮、コレギウム・ムジクム樂団演奏 レコード番号JH 228。このレコードにはジュゼッペ・トレッリの協奏曲も収録されています*4。恐らくは1939年発売のEH 1231と同じ音源です。

ビクターレコードの月報、洋楽新譜の昭和15年(1940) 3月号の3ページに上記とほぼ同様の情報と、10 ページにレコードの紹介文が掲載されていました*5

A面は、三聲音のカノンの形式で書かれた雅趣あるもので中世の藝術美の理想を表現した音楽。

日本ビクター蓄音器 (1940)ビクターレコード洋楽新譜 昭和15年3月号 p. 10

これが、初めて日本でカノンについて触れられた記録だと思います。

 

感想
自分の中ではSP盤の日本での発売はありえないことだと結論づけていて、存在しないという確信を得るために調べ続けていましたが、それだけにビクターの目録から三声のカノンの記述を目にしたときは驚きがありました。

終わりに 情報を残すことについて
多くの文献に残された情報から、期待以上の答えにたどり着きました。思い返せばそう、ディーナー指揮のカノンの情報を目にしなければ調べなかったはずで、野村コレクションのSP盤目録がなければ日本での販売はないものとして今頃は忘れていたはず。結局は最初から最後まで残されたもののおかげで、それを知った以上は自分も残そうと思います。多分また別の誰かが、思いつきと衝動だけで、些細なきっかけから風呂敷を広げてまた畳むのを願って。

参考文献・脚注

*1:Miller, Philip. “Quarterly Record-List.” The Musical Quarterly, vol. 25, no. 3, 1939, pp. 395–405. JSTOR, http://www.jstor.org/stable/738753 . Accessed 05 Oct. 2023. 06:22:05 +00:00

*2:Broder, Nathan. “Quarterly Record-List.” The Musical Quarterly, vol. 30, no. 3, 1944, pp. 377–78. JSTOR, http://www.jstor.org/stable/739487 . Accessed 05 Oct. 2023. 08:12:57 +00:00

*3:ニッパン・ポニー編(1986)野村レコード・コレクション : SPレコード目録 東京都立教育研究所 p. 93

*4:東四郎 編(1944)ビクター洋楽レコード目録 : 昭和十五年-昭和十八年既発売レコード目録 日本音響 p. 18 p. 34

*5:東四郎 編(1940)ビクターレコード洋楽新譜 昭和15年3月号 日本ビクター蓄音器  p. 3 p. 10

6月の話


6月30日の深夜、7月の始まり。

The Beginner's Guideのラストの話。昔Tumblrに貼ったものを再利用。

この作品はとても美しく、根が深いほどに好きですが、プレイを勧められないほど恐ろしい作品です。物を作る人と、作り変える人。何かしらを調べようとする人や、謎を解き明かそうとしたり、忘れさられたものを伝えようとする人にとっては致命傷にもなりえる劇薬だと思っています。

色々すっとばしてラストシーンの考察。自分だけの。最後にプレイするマップは作品ではなく、語り手の心象風景だった、というのが通説です。けれど自分には、そのマップはCodeの手による新しい作品であって、語り手を許したのを伝えるために公開したのではないか。そう思っています。実際には……。

10日の土曜深夜から13日の夜明け前、15日の夜。書きたいことのまとめ。だいぶADVゲームより。

Kyle Choi作 COMER 天国の走廊
98年のMYST系ADV。日本語の情報がなく気になる作品。詳細な解説


Obsidian 日本語版 96年のMYST系ADV。失踪した科学者チームを捜索するために、不条理の世界へと踏み入れる不思議な作品。最近プレイして奇妙な感覚にとらわれました。

CD-ROM Journal
古のマルチメディア作品を語り継ぐページ。とても貴重です。

RDR2の気球の話
この作品は本当に素晴らしかったです。劇中の半ば、主人公は自らの人生の根幹を揺るがすほどの衝撃的で、悲劇的な境遇に置かれます。意気消沈するなか、仲間に導かれるまま強制的に気球に乗せられ空へと飛び立ち、雲を超えて信じがたいほどに美しい光景を目にする…という、
終末が近づいてくる中で僅かながらの救いを見出すかのようなイベントが起こります。プレイ中、鬱蒼とした大地を離れた気球が雲を抜けて天空に出た瞬間、雲の壁が空一面に白く広大な層を成して、まるで天国の光景だと感じたのを覚えています。

本題。通常、気球の搭乗はイベント限定ですが、スクリプトを導入すれば気球をいつでも呼び出すことができます。風はランダム、天候もランダム。時々はゲームを起動して、空を流れるままに漂うのも楽しいひとときです。

 

The Void (Tension)について
この作品を語るのは難しいです。というより、正攻法で先に進んだわけでもないので…今はまとめられないので、いつか別の記事にしようと思います

Void Walker
上とは関係のない作品。ネットのどこかで見つけた、昔の奇妙なフリーゲーム。どうい
うわけか心に残って不思議な気分になります。

フランス ガヴァルニー圏谷について | akaikura Laboratory | MUUSEO
手元にあるブローチに記されていた文字を巡る短い記事。


The Longest Journey
ファンの手により完成された日本語化と、CGの高解像度化がされたポイント&クリック型の傑作ADV…と言われているだけに、きちんと最後までやり遂げたい。

Amanda Goodenough作 Inigo Gets Out
ルーカスアーツのLOOMの解説記事で触れられていた、最初期のポイント&クリックADV。Amanda Storiesという、作者の作品をまとめたパッケージが日本でも売られていた。日本語の解説動画

気が向いたら続く。

 

SKYの記録 星の王子さまの季節

フォルダの整理中に昔よく遊んでいたSKYの写真を見つけたので記録を。23年にPC版がリリース予定と発表されました。とても楽しみです。


渓谷 始めたての頃の初期衣装。きっかけは風ノ旅ビトの関連作と聞いて。

 
捨てられた地 見知らぬ星の子


書庫


一周目終了



世界の裏側 通常は行けないポイント

 
縦撮り。黒マントとピアノ、2周年記念の帽子。お気に入りの装飾。

 


二周年と同時期に行われたイベント、星の王子さまの季節


このときは始めて二ヶ月ほど。意外なコラボで驚きでした。


草原 楽園の島


別れの時

 
他。

感想を。雲の動きが美しくて綺麗な作品でした。風を切りながら空を自由に飛び回り、様々な場所を冒険する…という子供の頃の想像が実現された作品です。先へ進むのも楽しいですが、足を止めて美しい音楽に浸りながら、バッテリーが許すまでぼうっとするのも貴重な時間です。

ちなみに。お気に入りの衣装は星の王子さまの剣士衣装、狐の飾りつきタイ、2周年記念の帽子、ミント色のケープか、点灯夫の黒マント。今では入手できないものばかり。特に2周年記念の帽子は可愛くそれでいて他の衣装と合わせやすいのでいちおし、そのうち復刻すれば良いのですが。