パッヘルベルのカノンを探して 続き

パッヘルベルのカノンについて調べている内に得た、ざっくりとした話の続き。 

・日本での初公演
音楽年鑑 昭和36年版より、V・シュピター指揮、NHK協奏楽団演奏、賀集陽子ピアノのカノンとジーグが1966年の7月11日にNHKホールで演奏されたとありました。録音は残っていないと思いますが、同日の夜にラジオ放送されたと当時の雑誌のラテ欄にありました。

・LP盤のカノンへの日本での言及
レコード芸術 1961年12月号の56p~57p 佐川吉男/著、協奏曲/題の中で、ミュンヒンガー指揮・合奏協奏曲ト短編「クリスマス」に収録されているカノンについて触れられていました。

・アーサー・フィードラー指揮のカノン
40年録音の有名な演奏で、激流のような早いテンポが特徴です。また、通奏低音チェンバロがとても綺麗でした。CDや配信がされているので今現在でも手軽に聴くことができます。テンポに関しては10インチSP盤の録音時間内に収めるためという説と、12インチ盤を敢えて使用していないことから、元々意図されていた速度という説があり興味深いです。この録音はエザイアス・ロイスナー (Esaias Reusner)の組曲第一集、Suite No.1の10インチ盤2枚組に含まれる形で、44年に米国ビクターより販売されました。

・ディーナー指揮のカノンについての追記
現存する独エレクトローラ盤がゲッティンゲン大学の電子目録より確認できました。日本ビクター盤は野村胡堂・あらえびす記念館に所蔵されているはず。こちらは書籍の目録だよりで、今も現存するかは未確認。

ウィントン・マルサリスによるトランペット演奏のアレンジ
とてもきらびやかで、1番のお気に入りです。公式のアーティスト・チャンネルより配信されています。

youtu.be

・最も音質の良いカノンは?
04年に販売されたオーディオDVD、EVANGELION:DEATHに収録されているスロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団演奏のものが最も高音質だと思います。他の録音もハイレゾ音源の配信サイトで探すと少し見つかります。

・リンク
パッヘルベルのカノン 名演名盤聞き比べ(曲の解説とCD比較)
フェブラリーのホームページより。カノンの演奏が収録された多くのCDについて詳細に書かれています。

以下調査中

・主よ、人の望みの喜びよ
この曲も好きなので調べました。確か1930年頃に日本での販売記録を見た気がします。もっと古い録音のSP盤もあるようです。

アルビノーニアダージョ
1958年より前の記録を探しましたが、見事に何もありませんでした。

・グスタフ・ベックマン (Gustav Beckmann)による研究論文
https://www.jstor.org/stable/929723
カノンの初出版された楽譜が含まれます。

・マックス・ザイフェルトの書籍
国際楽譜ライブラリープロジェクトより、パブリックドメインとなった著作の一部を閲覧できます。カノンとジーグが収録されたOrganum誌もありました。

・論文について
パッヘルベル 論文」の検索で表示される研究論文はどれも読み応えがあるので一読をおすすめします。特に受容史に関する一考察は遠隔複写をしてでも読むべきです。

パッヘルベルの他のカノン以外のSP盤